尾身建築の想い


夢を持ち努力する事で、未来を切り開く

「大工」と言う職業名が消えて行く?

昔から「大工さん」と言葉にされてきた自分の職業、最近の若いお母さん方に言われたそうです。

「大工さんは何をする方ですか・・・?」

最近は、内装業、リフォーム業、ハウスメーカー、建築士、リフォーム相談員、コンサルタント等々と、資格を優先する時代になりつつあります。 今では「大工」と言われる人たちはおそらく五十代後半から上の年齢の職人さんしかいなくなったのではないかと思います。 その地域の自然のしくみや住宅建築のつくり方についてすべてを知り尽くし、建物づくりに携わる職人を総括できる職人を「大工」というように教わってきました。 しかし、職業の分散化が進み、大工というのが「作業員」になりつつあるように思われます。

昔、「出稼ぎ」と言う関東方面に仕事を求めて冬から春先まで出かけた時がありました。 千葉県にお世話になり、屋根の骨組材の「梁」組を墨付け加工を任されて、いつもの通り始めましたが、向こうの大工さんに怒られました。

「そんなやり方ではだめだ!双方の梁材を半分ずつ欠き組め!!」

と言うのです。海岸沿いは風が強いので屋根が揺れたり飛ばされるから、大きな重い材料の梁と梁を欠き、組込んで揺れに強い屋根構造を作っていたのでした。 雪国の屋根は、梁と梁の欠きを少なく、積み重ね合わせて重みに耐える構造なのです。 他にも関東は平均に湿気の少ない地域ですが、我々の地域は一年中湿気の多い地域です。仕事作業の仕組みや内容は日本中で考えると随分違いがあると思っています。

まだまだ地元の大工さんを目指し夢と希望を持って就職を希望する若者がたくさんいますが、受け入れる工務店が少なくなってきました。 「地域の建築大工」を育てるのは、ハウスメーカーでも建設会社でもなく、我々「地元の大工さん」が三年、五年、十年かけて育てています。 技術の良い宮造り大工さんでなくてもいいのです。地元に残り生活してその地域の技術を学び、何でもできる地元の大工さんを育成できたらと日々頑張っています。 そして少しでも「地元の大工さん、若い職人さんのことを気にかけてくれたら・・・」と願っています。